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 繊維の女王

繊維の女王

緑色の繭から製糸された天蚕糸には生糸・紬糸の二種類があり、座繰機から製糸する生糸と真綿から紡ぐ紬糸が織糸として使用されています。
天蚕は優美な光沢を持ち、軽くて柔らかく、また暖かく丈夫な特性があり、 染料に染まりにくいため天然絹糸そのもの美しさが他の繊維にはみられない艶もあり、繊維業界からは「繊維の女王」、 「繊維のダイヤモンド」と讃えられています。
とりわけ穂高の天蚕糸は業界では最高級品として珍重されています。



天蚕繭の製糸法(生糸)

 繊維の女王

質の良い繭は生糸にします。 1粒の繭の糸の長さ600m~700m
煮た繭から糸口を求め、7本(7粒)を撚って1本の糸にする。撚り終えたら次々と糸口をつぎ足して1本の長い生糸を作る。
繭1000粒から250g~300gの絹糸が得られます。


乾繭
収繭してそのまま繰糸する場合もあるが、繰糸作業が長い期間になるために乾熱処理をして殺蛹し、 乾燥した風通し良い場所でカビを防ぎながら保管して順次、繰糸に使用する。

煮繭
繰糸する場合に繭糸がよく解離し、しかも数本を合わせる場合に包合が良くなるようにする準備作業。 繰糸
製糸の主要工程で、煮た繭から糸口を求め、これを数粒集めて繰るが、 糸が切れた場合や繰り終えた場合は他の繭の糸口を継ぎ足しながら一本の長い生糸を作り、小枠に巻き取る。
揚げ返し
小枠に巻き取った天蚕糸は、綛(かせと読み、運搬、染色、糊付け、 その他の取扱いに便利なように一定の綛枠に一定量巻いて取り外し、結束した糸の総称)とするため別の枠に巻き取る。
*基本的にはここまでの作業をして生糸とし、業者に販売する。


天蚕繭の製糸法(紬糸)

 繊維の女王
紬糸は真綿にする際に、セリシンを取り除くため色素は消失するが、繊維はかさが増えてふんわりと柔らかい。
天蚕の紬糸は主に家蚕の紬糸と交織して使われ、天蚕紬、有明紬、松本紬などとも呼ばれる。


煮繭
玉繭、出殻繭、くず繭などを綿地の袋に入れ、灰汁、ソーダ灰を溶かした液を煮た鍋の中で煮繭し、 セリシンや不純物を取り除く。

糸紡ぎ
煮繭の後、水洗いをした繭を乾燥させ、一つずつ丁寧にほぐして真綿にする。 その真綿に重石をのせるか棒に真綿を巻きつけて、繊維を手で引き出しながら紡ぐ紬糸と、 電動手紡ぎに真綿から手で繊維を送り出し、手紡機に紡いだ糸を巻き取る紬糸の二種がある。

撚糸
繊維を手で引き出しながら紡いだ糸は、ぬるま湯でぬらして糸車で更に撚りをかけ、しっかりした糸にする。
*紬糸は主にヨコ糸に使用します。

天蚕糸の特徴

 家蚕と天蚕
  野蚕(天蚕)繭糸の断面            家蚕繭糸の断面

上の写真は糸の断面を拡大したもので、絹糸は2種類のたんぱく質で成り立ち、室内で飼う蚕(家蚕)と野生の蚕(野蚕)を比較したものです。 緻密な構造の蚕(家蚕)に比べ、野生の蚕はたくさんの隙間がある構造 (多孔性絹糸)で、呼吸するシルクとも言われています。
多孔性絹糸は放熱・保温と放湿・保湿を自動コントロールし、UVカット効果も高く、抗菌性に優れた大変快適なシルク素材であることが分かってきました。
多孔性絹糸は光を乱反射させるので光沢に優れており、この事から「繊維のダイヤモンド」と言われています。

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