やまこの学校で飼育・生産した天蚕糸が奈良・薬師寺の大講堂に掲げられる「繍仏」(しゅうぶつ)の刺繍糸に使用されることになりました。
この計画を発案していただいた松久保秀胤師がやまこの飼育林を視察されるということで、
この機会にお話していただけることになり、特別講座を開催しました。
松久保秀胤師のお話では、安曇野と薬師寺を結ぶご縁は天武天皇にあるといいます。
天武天皇は大海人皇子と呼ばれた頃、信濃の馬によって壬申の乱を戦い抜いて皇位を継承したこと、
また晩年には束間の湯(浅間温泉)に行宮を建設したり遷都を計画するなど、信濃には非常に関係が深い天皇だったということです。
その天武天皇が皇后(持統天皇)の病気平癒を祈願して建立を発願したのが薬師寺であること、
しかし、薬師寺と本尊の薬師如来像の完成を見ずして天武天皇は薨去されてしまったので、
皇位を継いだ皇后の持統天皇が菩提を慰めるために「繍仏」の製作を命じたものであること、
そして未だ薬師如来像が出来ていない中で「繍仏」は本尊として崇められたといいます。
「繍仏」の復元の重要性とともに、その「繍仏」に天武天皇とゆかりの深い安曇野の天蚕糸が使用されることは大変意義深いことであるとお話しされました。
また、歴代の皇后さまにより蚕が飼育され、繍仏も女性の手によって一針一針縫わるなど、
女性と養蚕や繍仏との関係や歴史についてもお話しいただき、参加された皆さんは深い感銘を受けておられました。
安曇野の天蚕をめぐる歴史ロマン